前回は「がんばろう!」より「この1か月どうだった?」と聴くことで、メンバーの“今の状態”に気づく大切さを学びました。
今回は、部下の状態によって、どんな声かけや支援が有効かを一緒に考えていきましょう。
登場人物
情熱課長: 部下の成長を願う熱血課長
吉田部長: 人材育成のベテラン、冷静沈着な部長
メンバーの「やる気が見えない」の背景を探ろう

部下に声をかけてみると、一人ひとり違う悩みや迷いが見えてきました。どう関わればいいか、少し迷っています。


そうだね。今の時期、“やる気がないように見える”部下でも、背景や状態はさまざま。だから、それぞれの背景や状態に合わせて関わっていくことが大切だよ。
目標を見失ってしまったメンバーの状態には


指示を待っているだけのように見えるメンバー。実は「やる気がない」のではなく、「目標が見えなくなっている」こともある。
なるほど、4月は与えられた仕事に夢中になっていたけれど、5月に入って「これでいいのかな?自分はどこに向かっているんだろう?」と不安を感じ始めているかもしれませんね。


そんな時、上司から
「今、どんなことで悩んでいる?」
「これから、どんなスキルを身につけたい?」
「私に協力できることは何かな?」
と聞かれたら部下は安心できると思うよ。
そうですね。そうやってこれからのことを一緒に考えれば、今の仕事が自分の目標に結び付き、元気になれそうですね。


いいね。今の仕事がどう自分の未来につながるかを考えてあげると部下は安心できるね。
新しい環境に馴染めないメンバーの状態には

あと、異動してきたメンバーが、どうも周囲と馴染めていないようです。


新しい環境や人間関係に、馴染めていないんだろうね。“素の自分”でいられないことに疲れているのかもしれないな。
「困ったことがあれば相談して」と声かを掛けてはいるのですが…。


いいじゃないか、さらに踏み込んで
「新しい部署で一か月たったけど、困ったことはない?」
「そうなんだ。どうなって欲しい?」
「協力できることは何かな?」
と尋ねて問題を一緒にみよう。
そうですね、やっぱり部下の話を聞く時間が必要ですね。


そうだね。忙しい時こそ、一度立ち止まって現状把握が大事だね。忙しい中、一緒に問題を解決しようしてくれる上司の姿を部下は頼もしく思うよ。
成果が出ずに落ち込んでいる部下の状態には

あと、努力しているのに成果が出ず、自己否定が強くなっている部下もいます。


そうか、自己否定している部下がいるのか。責任感が強い部下に起こりがちのことだね。
そういえば、責任感が強くて一生懸命にやっているようですが、どうも一人で仕事を抱え込み過ぎているようで、息切れしているように思います。


そうだね。本人は一生懸命にやっているつもりだから、今のやり方を否定するやり方は良くないね。
「この一か月、やってみてどんなことが大変だったかな?」と本人の中で一か月の振り返りができるようにしてあげられるといいね。
その上で、これまでのできているところや努力をしっかり認め、「できていない部分」は「あなたの伸びしろ」だと伝えてあげればいいですね。前に教えてもらった『加点主義』ですね。


そうそう、よく覚えていたね。これからすべきことを「伸びしろ」と意識できれば、
前向きなチャレンジに切り替えられる。
進む前に今の状況を把握する

連休明け、どうやって前に進ませるかばかり考えていました(苦笑)。「今、どういう状態、状況なのか」を一緒に確認する時間を大切にします。


部下のやる気を引き出すのは、上司の正解を押し付けることではなく、部下の今の状態への共感から始まる。焦らず、部下の考えを聞きながら伴走していこう。
今回の質問
「今、部下はどんな状態でしょうか?」
- 目標を見失っている
- 環境になじめず苦しんでいる
- 結果が出ずに落ち込んでいる
- それ以外の、何か別のサインかもしれない
まずは“気づこうとする”ことから始めてみましょう。
次回に続けます。お楽しみに!!
