ある社員に仕事の内容を説明して、本人にできるかと聞いて「できます」と言ったのに、結局「できませんでした」と言ってきました。
上司にしてみれば、約束を守らず責任感のない許せない社員に腹が立ってしまいますね。
だから「約束したのに何んでできないんだ」なんて責め立ててしまう。
部下は「すみません、次から気を付けます」と反省したふりをする。
この繰り返しが続いてしまう場合が多いかと。
では、こうならないためにどうすれば良いのでしょうか。
4つの視点で考えてみる
ここでは冷静になれるように問題を俯瞰して考えてみましょう。
高い建物の屋上から上司と部下を眺める感じです。
チェックして欲しいことは4つあります。
- 社員との関係性
- 仕事の任せ方
- 進捗確認
- 労いと感動を伝える
社員との関係性は?
一つ目の社員との関係性はどうなっているでしょうか。
この上司と話をしても良いと思える関係性になっていなければ、社員は仕事に主体的に向き合うことはありません。
言われたことを無難にこなす指示待ち状態か、できますと言っておけば何とかなるという安易な状態になってしまいます。
また、上司も社員をダメな部下と決めつけているので社員は否定されていると感じ、自己防衛反応(反発・逃げる・固まる)をします。
だから「できますか?」と聞かれれば、上司の否定という攻撃をかわすために、「できます」と答えてしまうことが多くなるのです。
ここでは、できない社員というレッテルを剥がして、伸びしろのある社員という意識にシフトして、社員を受け止め一緒に考えようという姿勢を示してあげましょう。
上司の「この社員が行動できるように、私ができることは何か」という支援の気持ちが社員を動かします。
社員もできるために何ができるか考えだします。
上司と社員の関係性が高まっている状態でもあります。
普段からこの上司となら一緒に仕事をしてもいいな と思える関係性を築いていきましょう。
どんな仕事の任せ方をしていますか?
二つ目は、仕事の任せ方はどんな風になっているでしょうか。
仕事の任せ方で大切なことは次の3つを明確にすることです。
- 目的とゴール
- 条件とリソース(使えるもの)
- 課題(期待)の言語化
例えば
この仕事は〇〇のために、◇◇までに終わらせてね ⅰ
お客様とは、これこれと約束してあるの ⅱ
必要な情報は△△にあります ⅲ
社内ではこの人に手伝ってもらってください ⅱ
ただあのお客様は、こういうところが難しいから ⅲ もしできないと思ったらすぐに私に連絡して
でもやれるだけやってみて! ⅲ
というように
- 目的とゴール
- 条件とリソース
- 課題(期待)
を明確して伝えてあげましょう。
課題(期待)を言語化し明確にする
特に課題(期待)の部分は曖昧になりがちです。
上司としては、そんなことわかっているだろうと思いがちですが、社員はわかっていません。
社員が理解できるように言語化して共有することが必要です。
さらに任せたいことを言語化したとき、社員はそれについてどう思っているのか聞いてあげましょう。
社員によって持っている知識や能力が違います。
その知識や能力にあった仕事しかできないはずです。
できる範囲と課題(期待)を明確にしてあげる必要があります。
「ここは挑戦して欲しいところだ! でもできなくても大丈夫だよ!」と。
そうすれば、社員も安心して任されて仕事に取り組むことができます。
任せた通りには進まないもの
しかし、任せたからといって社員がその通り進められるとは限りません。
むしろ上手くいかない場合が多いはずです。
社員もいろいろ相談したい時もあるのに「できます」と言った以上、上司に相談するのを遠慮してしまいます。
いつの間にか相談できず仕事の期限がきて、「できませんでした」と言ってくる。
上司のあなたは、「なんで、もっと早く相談に来なかったんだ!」と怒ってしまいます。
声掛けしていますか?
こうならないように進捗確認をしてください。
毎日、社員の様子を観察しながら、「どう調子は? 困ったことはない? 協力できることはないかな?」
と声掛けをしてあげましょう。
上司は『任せたのだから一人でやるべきでしょ』という気持ちになりがちですが、ここが社員を育てる重要なポイントです。
声掛けをして、上手くいっていれば「いいね!その調子」と褒めてあげると社員の仕事が加速します。
一緒に考える
一方、上手くいっていないときは、「遅れているところは?わからならいところは?」(詰問にならないよう優しく)と質問をしてあげると頭の中が整理できます。
「ここは、こうするといいよ。 これは〇〇さんに聞けばわかるよ」というように仕事が進められるようにアドバイスしてあげましょう。
声掛けしながら一緒に考えることは『上司は私のことを気に掛けてくれているな』と社員は感じるので良好な関係性も生まれてきます。
労いや感動を伝えていますか?
社員が仕事をやっと終えたとき、どんな対応をしているでしょうか。
上司にとって当たり前の仕事でも、部下には大きな一歩かもしれません。
その一歩を踏み出したことを称賛してあげると、社員は嬉しくなり再びチャレンジしたくなります。
「おつかれさま!がんばったね、お客様も喜んでいたよ、私も嬉しい、助かったよ」と労いや感謝の言葉を伝えてあげましょう。
さらにこんな風に対話を続けてください。
「今回の仕事すごいね!どんなことを意識してやったの? どんな工夫をしたの? 教えてくれる?」と感動を伝えて、どんな風にやったのか聞いてあげると、社員は無意識でやってきたことを言語化することができます。
だから再現性が生まれ次に活かすことができるのです。
社員も自分でやってきたことが意識化でき、自分が成長していることを実感できます。
できない社員と決めつけることは簡単ですが、できない社員を量産してしまうことになります。
伸びしろのある社員と意識する
『できない社員』ではなく、『伸びしろのある社員』と意識をシフトして
- 社員との良好な関係性が築けているか
- 仕事の任せ方は明確になっているか
- 進捗確認をしているか
- 労いと感動を伝えているか
この4つの視点で社員に関われば、できる社員に変わっていきます。
今回の質問
【できる社員に育てるために、どんな関わり方が必要ですか?】
次回に続けます!お楽しみ!