嫌いな人を見ると、つい避けたくなることはありませんか。これが職場だと、仕事に支障が出ることもあります。でも、話してみると実はいい人だったりします。
今回は、嫌いな相手でも上手く仕事を進めるヒントを、私の数少ない成功事例から情熱課長と吉田部長の対話を通して紹介します。
登場人物
情熱課長: 部下の成長を願う熱血課長
吉田部長: 人材育成のベテラン、冷静沈着な部長
いつも私の相談に乗っていただきありがとうございます。今日は吉田部長の成功体験から学ばせてもらえませんか?
嬉しいね。失敗ばかりだったけれど、数少ない成功体験を話してみよう。
私が主任時代に経験した、ある地下鉄地上駅の新築工事の話だ。赴任してみると、前の現場で応援に来てくれたK先輩が上司でいたんだ。Kさんは10歳くらい年上でね。
あっ、知っている人が上司に!普通なら安心しそうですが…。

ところが、Kさんは前の現場の応援に来てくれたはずなのに、事務所に座ったままで、何を応援しているのかわからないような人だったんだ。
だからKさんを見たとき「えー、Kさんと一緒に現場をやるの?嘘だろう」と胸はざわめき、重苦しい気持ちになったんだ。
それは、確かにやりづらそうですね…。
そうなんだ。でも笑い話のようだけど、ちょうどその頃、ディール・カーネギーの『人を動かす』を読んでいて、「悪者にも一部の善があるはずだ」と超前向きになっていたんだ(笑)。そこで、勇気を出してこう聞いてみた。
「Kさん、私はこの現場をどのように進めれば良いでしょうか?」

えっ、自分から聞いたんですか!?それは勇気が要りますね。
そうなんだ。すると、そんなことを言われたのは初めてらしく、目を丸くして「吉田くん、、、」と言って、しばらくニコニコしてから、「私はお金のことをやるから、吉田くんは現場を頼むよ」とざっくり役割を決めてくれたんだ。それからは、前の現場とは打って変わってKさんは仕事に精を出すようになった。お互いに無視することなく「任せたよ」という感じで進められたんだ。
へぇ〜!人って、変わるものなんですね。

私も含めてね(笑)。最初は「絶対無理だ」と思ってたからね。その後、工事もいい成績で完了した。
打ち上げの懇親会では、Kさんが「吉田くんは、俺を馬鹿にしなかった」と嬉しそうに何度も話していたのが印象に残っている。
今まで馬鹿にされていたのかもしれないな。私も同じように無視や否定をしていたら、こうはならなかったと思う。最初に相談したのが良かったんだろうと思う。
なるほど…。やっぱり「好き嫌い」や「見かけ」で判断せずに、まずは話し掛けてみることが大事なんですね。
そうなんだ。そこから相手を知り、お互いに協力できることが見えてくる。変な意地を張らず、相手に飛び込む勇気が大切だと教えてくれた、私の数少ない成功事例だったよ。まあ、“数少ない”ってところがポイントなんだけどね(笑)。
今回の問い掛け
「嫌いな人とは、もしかすると自分の勝手な思い込みかもしれません。その思い込みのまま一緒にいれば、嫌な思いをするだけです。
相手を嫌うのは、相手の“本当”を知ってからでも良いのではないですか?」

次回に続きます。お楽しみに!









